靴の重さとスイング

ある方

からの質問です。

「ランニングシューズは軽量化を追及しています。歩行用で速度を競わない限りでは、私自身はある程度の重さが下腿の振り子運動を助けると思っていますが、どうなのでしょうか?」

重いほうが振り子運動を助ける
おっしゃるとおりだと思います。

まず、どういうときに靴の重さを感じやすいかというところから考えていくと、

靴の重さを感じやすい歩き(走り)とは、
膝関節の動きの割合が大きい歩き、つまり、下腿歩き=とぼとぼ歩きです。
足が地面から離れる局面で、膝から下だけを上げる歩きとなっている歩きです。

逆に靴の重さを感じにくい歩き(走り)というのは、膝の一つ上の関節、股関節のスイングをともなう動きとなります。
つまり、足の付け根を後ろにしっかりと動かす歩き(走り)です。

歩行時に足をうしろで上げているときに、膝下のスイングで上げているか、モモからのスイングで上げているか、
股関節をスイングさせて大きな筋肉を動員しているほうが、靴の重みを感じづらいというわけです。

さらにスイングの支点が膝中心だと重く感じやすく、股関節から動いてくると遠心力もより働いてきて、靴の重さがその運動をしやすくしますので軽く感じます。

これとは別にサイズが合わなくてフィットしていない靴は、同じ重量でも重く感じます。

もうひとつ重要なのが、
靴の頑丈さ=靴の重さにつながっているということです。

靴の頑丈さがあるということは、ソールにしても、アッパー部分にしても足が悪い動きをしないように、靴が「悪い動き」を制御してくれるのですが、逆に軽量な靴は足の自由度が高く、足が自然な動きをしようとしてしまいます。

正しい動きができている人は自由度の高いシューズでもいいのですが、足や体にゆがみやねじれがある人は自由度の高い靴は足の問題を助長してしまうことのほうが多いと思います。

軽い靴・重い靴どちらがいいかは、使用用途と、体が正しく使える状態になっているかなどが重要になってきます。

素足に近いシューズは足の力をダイレクトに地面に伝えてくれます。
しかし、逆に地面の力もそれだけ強く足に受けてしまうのです。

正しい足の使い方での筋力が備わった人や、人間本来の衝撃吸収能力を発揮できる人は裸足のようなシューズで走ります。
私が思うに、ランニングシューズで、軽量化が重要になる靴というのは、しっかり正しい動きのもとでトレーニングしてきたマラソン選手が、最大で42.195km(ハーフなら半分)故障なく走れれば役目を果たす靴であるということではないかと思います。

ウォーキング(普段履き)の靴であれば、振り子がしやすく、ソールもアッパーも頑丈で、悪い動きを制御してくれるようなシューズをフィットさせて履き、重さを感じない歩きをするのがベストではないでしょうか?

投稿者: Kiyoshi IIDA

姿勢・動き・競技中の動作解析などからカラダの動きや姿勢の問題点を抽出しケガ予防・コンデショニング・パフォーマンスアップなど、問題解決に向けて総合的な コンサルテーションを行うスペシャリスト。 専門分野:オーダーメイドインソール 作成・アライメントトレーニング指導・シューズ全般 JOC (財)日本オリンピック委員会 強化コーチングスタッフ(2002〜2011) (財)全日本スキー連盟モーグルチームテクニカルスタッフ(2001〜2011) 2002ソルトレイクシティ・2006トリノ・2010バンクーバーオリンピックに全日本スキーチームとして帯同 NSCA認定ストレングス&コンデショニングスペシャリスト(CSCS)2004〜2015 山形県スポーツタレント発掘事業YAMAGATAドリームキッズ講師(2008〜)スポーツシューフィッター制度創始者 日本障害者スキー連盟 IDアルペン コーチ兼トレーナー(2018〜)中央大学保健体育研究所 客員研究員(2019〜)

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